中小企業の生産性を向上するため、生産プロセスの効率化や新商品開発に資する設備投資を補助する「ものづくり補助金」
これまで数年にわたり定期的に公募され、多くの中小企業が活用してきました。
令和5年度補正予算にて既に17次公募(3/1締切分)、18次公募(3/27締切分)の電子申請が締め切られていますが、今年度はこの2回で終了となる見込みです。
実際18次締切分の公募要領に「令和5年度補正予算に基づく公募については、本公募で終了となります。」としっかり記載されています。
今年度から公募回数が少なくなったのには理由があります。
国の予算を活用して行われる事業に対しては、この事業が本当に必要なのか、目的に対する効果が得られているか、運用にムダがないか等を評価する「行政事業レビュー」という仕組みがあります。
政府の行政改革「行政事業レビュー」ホームページ
https://www.gyoukaku.go.jp/review/review.html
民主党政権時代に女性議員が「2位じゃダメなんですか」と発言して注目された事業仕分けをイメージしてもらえればいいです。
現在は行政事業レビューとして外部の有識者を中心に様々な角度から議論され、事業の良し悪しが判断されます。
そして、実はものづくり補助金は数年前から「事業の効果が低いのでは?」と言われていたのです。
同じ企業が重複して受給したり、設備投資自体が目的となっており、生み出される経済波及効果(アウトカム)が低いなどの問題が長年に亘り、度々指摘されてきました。
それでも政府としては「日本を支えるものづくりは後押ししなければならない。」と、なんとか継続してきましたがついにここへ来て見直しを迫られたわけです。
では具体的にどういう見直しを図ったかというと、これまではものづくり補助金、持続化補助金、IT補助金の3つをまとめて「生産性革命推進事業」という基金を設立して複数年度の予算を確保していたわけです。
しかし、行政事業レビューの指摘を受けて「毎年、事業の効果を測り、評価をしていきます」という形式に変えました。
そのため、令和5年度補正予算という単年度で事業を完結させる必要があり、公募が3月、交付決定が6月、事業完了期限が12月(厳守)となりました。
もし大幅に予算が余れば19次公募の可能性もゼロではありませんが、背景を考えると望みは薄そうです。
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